塾長ブログ(図書案内)を更新しました

読書履歴20215

皆さんに特におススメしたい本は、既に図書案内にて一冊ずつ丁寧にご紹介していますが、実は、それ以外にもさまざまな本を読んでいます。この新たな「読書履歴●年□月」シリーズでは、●年□月に読んだ本をすべて、「推奨度合い」と「ひと言コメント」を付して簡単にご紹介しようと思います。「推奨度合い」は、★の数にて表示します。「1つ星★☆☆☆」は「はじめに」、「あとがき」と「解説(あれば)」に目を通すことをおすすめします、 「2つ星★★☆☆」はこのテーマに興味をお持ちの方には「ザーっと目を通す程度」をおすすめします、 「3つ星★★★☆」は興味ある/なしに関わらず「ザーっと目を通すこと」をお奨めします、 最後に「4つ星★★★★」は必読書ですー「すべての方にジックリとお読みいただきたい」と思います。4月から5月にかけては下記14冊を読みました。1つ星★☆☆☆が3冊、 2つ星★★☆☆が3冊、 3つ星★★★☆が4冊、 4つ星★★★★が4冊でした。おもしろそうだと思われたら、是非ご一読を!!

 

  • ①「ビジネススクールで身につける会計X戦略思考」(大津広一、日本経済新聞出版、¥1800)★★★☆

BSPL、キャッシュフロー表を読む際、 What? だけでなく、why? So, what? How?とたたみかける質問をすることで本質に迫ることができるとアドバイスしています。同感です。金融マンは自然にそういった習慣が身についていると思いますが、、、そうでない方は、意識して身に着けるべきスキルでしょう。

 

  • ②「『中朝事実』を読む」(山鹿素行、荒井桂現代語訳、致知出版社、¥2800)★★★★

江戸時代初期の儒学者の山鹿素行は40歳代で日本人としてのアイデンティティに目覚め、勉学の集大成として「中朝事実」を執筆したそうです。それまで、国学、朱子学、蘭学を極めていたと言われる山鹿素行は仏教が日本に入る前から日本文明は既に高い次元に到達していたことに気づき、証明すべく日本書紀の前半部分の解説である「中朝事実」を書き上げたのです。

 

  • ③「近衛文麿と日米開戦―内閣書記官長が残した『敗戦日本の内閣』」(川田実編、祥伝社新書、¥1300)★★☆☆

第二次近衛内閣の内閣書記官長(今の内閣官房長官)を務めた富田健治による回顧録です。当時内閣の重大局面でどのような議論が行われていたか、臨場感を持ってふりかえることができます。

 

  • ④「日米戦争を策謀したのは誰だ! —ロックフェラー、ルーズベルト、近衛文麿、そしてフィーバーは―」(林千勝、WAC、¥1800)★★★★

「第二次世界大戦を引き起こしたのは、チャーチル、ルーズベルト、近衛文麿で、漁夫の利を得たのがスターリンと毛沢東だった」と言う主張が米国でも徐々に広がりつつあるようです(ルーズベルト信奉者からは「歴史修正主義」と批判されていますが、、、)。著者の林氏は東大卒の元銀行員(富士銀行)です。学者ではないからこその自由な発想で発言出来ていそうです。6ページにわたる参考文献リストをみれば、単なる憶測で書かれたのではないことが分かりますs

 

  • ⑤「人生は七転び八起き」(内海桂子、漫画矢部太郎、飛鳥新社、¥1200)★★★★

アラ百の97歳まで現役漫才師として生き抜いた内海桂子のエッセイです。「人生百歳時代をいかに生き抜くか」のヒントが詰まっています。元気をもらえる本です。

 

  • ⑥「WELL-BEING COMPANY 幸せな会社の作り方」(本田幸大、扶桑社、¥1300)★★☆☆

社員にとって「幸せを感じる会社とは!?」を追及した経営者の人生哲学の本です。

 

  • ⑦「フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔 人類史上最恐の頭脳」(高橋昌一郎、講談社現代新書、¥940)★★★☆

20世紀を代表する天才との誉高いユダヤ人のフォン・ノイマンの人生を振り返り、ノイマンがいかに世界を認識し、どのような価値観を重視し、いかなる道徳基準に従って行動していたのかを明らかにしようとしています。こんな突拍子もない才能をもった人が実在していたことを知るだけでも、一読の価値があります。ノイマンとはいかなる人物かー「天才だけが集まるといわれるプリンストン高等研究所の教授陣の中でも、さらに桁違いの超人的能力を発揮し、例外的な能力と識見に恵まれた言論界の雄」。「原子爆弾を開発する『マンハッタン計画』の科学者集団の中心的指導者で、『人間のフリをした悪魔』と呼ばれ、『コンピューターの父』としても広く知られる」。

死後、生前の論文を集めて出版された英語版「フォン・ノイマン著作集」は全6巻で、タイトルは以下です。いかに多彩な専門分野に影響を与えたかがわかります。

第1巻―論理学、集合論、量子力学; 第2巻―作用素、エルゴ―ド諭、群における概周期関数;第3巻―作用素環諭;第4巻―連続幾何学とその他の話題;第5巻―コンピュータ設計、オートメタり諭と数値解析;第6巻―ゲーム理論、宇宙物理学、流体力学、気象学。

 

  • ⑧「サピエンスの未来 伝説の東大講義」(立花隆、講談社減現代新書、¥1300)★☆☆☆

あの田中角栄の金脈・人脈をつまびらかにし、「宇宙からの生還」を書いた日本の誇る天才立花隆氏の東大での伝説の講義の裏側を含めた360度が見えてきます。

 

  • ⑨「ハイブリッド戦争 ロシアの新しい国家戦略」(廣瀬陽子、講談社現代新書、¥1200)★☆☆☆

サイバー攻撃、SNSによる攻撃など、いまの時代に特有な様々なリスクが国家間に存在し、背景に様々な国家戦略・軍事戦略が存在することがわかります。

 

  • ⑩「この国をダメにした『学校教育』」(松永暢史、主婦の友新書、¥781)★★☆☆

松永氏は、大学在学中から家庭教師で生計を立て、卒業後は教育コンサルと家庭教師を主業とし、学校教育を脇からみていてその問題点がみえていた、と豪語しています。首肯できる主張が多いですね。

 

  • ⑪「ルーズベルトの開戦責任 大統領が最も恐れた男の証言」(ハミルトン・フィッシュ、渡辺惣樹約、草思社文庫、¥1000)★★★★

④と同趣旨の本です。共和党幹部フィッシュの目ととおしてのルーズベルト評です。ルーズベルトがいかに国民を騙し続けたのかが赤裸々に暴露されています。

 

  • ⑫「西欧の衝撃と日本」(平川祐弘、講談社学術文庫、¥1200)★★★☆

比較文化研究の大家である元東大教綬による日本文明論です。日本人としてのアイデンティティを身に着けるうえでも読んでおきたい本ですね。日本の近代史の見方に新たな光を当てています。

 

  • ⑬「日米開戦 陸軍の勝算 —『秋丸機関』の最終報告」(林千勝、祥伝社新書、¥800)★☆☆☆

④の本の参考文献にも掲載されている本です。日本は自暴自棄になって米国に戦争を仕掛けたわけではない、ちゃんと事前に戦力分析し、戦略を立て、「勝てる」と踏んでいたのだ、という事実があったことわかります。問題は意思統一と実行面ですーその戦略で内閣と陸海空軍の意思統一ができていなかったこと、及び戦略と実行の不一致ですね。昔から日本には縦割り社会の弊害があったことがわかります。

 

  • ⑭「新しい世界 世界の賢人16人が語る未来」(クーリエ・ジャポン編、講談社現代新書、¥900)★★★☆ 賢者16人が語る「未来」とは「コロナ後のニューノーマルの世界」です。賢者16人とは以下の顔ぶれですーユヴァル・ノア・ハラり(1976イスラエル生、歴史学者・哲学者)、エマニュエル・トッド(1951フランス生、歴史人口学者)、ジャレド・ダイアモンド(1937アメリカ生、生理学者)、フランシス・フクヤマ(1952アメリカ生、政治学者)、ジョセフ・スティグリッツ(1943アメリカ生、経済学者)、ナシーム・ニコラス・タレブ(1960レバノン生、数理系トレーダー・文筆家)、エフゲニー・モロゾフ(1984ベラルーシ生、ジャーナアリスト)、ナオミ・クライン(1970カナダ生、ジャーナリスト)、ダニエル・コーエン(1953チュニジア生、経済学者)、トマ・ピケティ(1971フランス生、経済学者)、エステル・デュフロ(1972フランス生、開発経済学者)、マルクス・ガブリエル(1980ドイツ生、哲学者)、マイケル・サンデル(1953アメリカ生、政治哲学者)、スラヴォイ・ジジェク(1949スロベニア生、哲学者・精神分析家)、ポリス・シリュルニク(1937フランス生、精神科医)、アラン・ド・ボトン(1969スイス生、哲学者)。コロナ禍が様々な変化をもたらしていますー資本主義の行き詰まり、拡大する格差、地球規模の環境破壊、等々。本書は賢者16人との著名なインタビューを中心に加筆修正したもので、「文明」「世界経済」「不平等」「コロナ後の哲学」「私たちはいかに生きるか」といったテーマ別に再構成されています。顔ぶれの多彩さが最大の魅力ですね。